コラム | 第13話 溺れる男

世間ではライブドアの話題で持ちきりだ。

ライブドアの前身である「オンザエッジ」の頃から会社としては知っているが、特別な技術をもった会社でも実業で利益をガンガンあげている会社でも無かった。

ITバブルにつけこんで成長し、後は投資会社に変身して利益をあげていただけだ。

かと言って、彼の行動の全てを否定するものでもない。
旧態依然とした社会には誰だって辟易するものがあった。

また、再起してチャレンジして欲しいものである。

・・・と、飲み屋でTVを見ながら高邁な思想にふけっていた私の肩をポンと叩く人がいる。

いつも出会う常連さんだ。50半ばで痩せて眼鏡をかけている。
仕事は確か、レントゲン車の運転をしている。

いい人なのだが、見事に酔っ払ってしまう。
ワーワーと騒いでいたかと思うと、急に寝てしまう。

この人はこれまでに3回、死にかけている。
風呂場で2回、酔っ払って溺れているのを家族が見つけ引き上げている。

ほんとにめずらしい人

ほんとにめずらしい人

極めつけは「ケンチン汁」で溺れかけた話だ。

酔っ払って家に帰り、「なんかないんか!?」と大声を上げると、奥さんがコタツの上に小ぶりのどんぶりに入れたケンチン汁を置き、「これでも食べとき!」と言われたそうだ。

しかし、既に酔っ払っているので、ケンチン汁を目の前に置いたまま居眠りを始めた。

すると、いつの間にか前かがみになっていき、ケンチン汁のどんぶりの中に顔をつっこんで寝てしまった。

あまりに静かなので、様子を見に来た奥さんが、首筋をつかんで顔を引き上げると、ブハッという凄い音と共に鼻からゴボウが飛び出てきたそうだ。

私はケンチン汁で溺れかけた人はこの人しか知らない。

・・・という話を思い出している間に、横で寝るな!!