コラム | 第26話 犬の奴ったら

あけましておめでとうございます。

皆様のおかげで今年もまた、新しい年を迎えることができました。
ありがとうございます。

1月3日にあまりにもダラダラしている自分が情けなくなって、久しぶりに犬を連れて近所にある甲山の展望台を目指しました。

この犬はうちの血統書付きゴールデンレトリバーと近所の柴系雑種との許されぬ愛の営みの末に生まれたものである。

9匹兄弟の何番目かは分からない。

こんな雑種、もらい手がないだろうと思っていたのだが、家の前に
「ゴールデンレトシバーの子犬もらって下さい」
という紙を張っておいたら次々にもらわれていってしまった。
ネーミングというのは恐ろしいものである。

そのうちの一番陰気でよわっちぃ奴が残ってしまったのだ。
母犬はもう大分前にお亡くなりになっている。

顔は柴で体はゴールデンというバランスの悪い犬と共に30分ほどヒーヒー言いながら山道を登って行く。

昨日の晩、餌をやり忘れていたので犬は若干すね気味である。

山の中腹にある展望台に着くと寒い中、弁当を広げている家族連れや若いカップルなんかが10数人程いる。

展望台の縁にある低い柵の前に立ち、景色を眺める。
足下は崖になっているので少し怖い。

あそこが仁川の競馬場で、あそこが武庫川のサイクリングロードか・・・などと思いながら見ていたら、突然、肩のあたりをドンと押された。
体が前につんのめりそうになり「うわっ」と思わず声が出てしまった。

笑ってごまかすな!

「笑ってごまかすな!」

振り返っても誰もいないので、肩口を見ると犬の足跡がついている。
後ろ足で立ち上がって押しやがったのだ。

犬はそしらぬ顔であらぬ方向を見ている。
思わず「どーんって、どーんってしたやろ!!」
と怒鳴ってしまった。

回りからクスクスと笑い声が聞こえて来る。

格好悪いので足早に立ち去る。
犬は尻尾を振りながら歩いて上機嫌である。

やれやれ今年も思いやられる。