コラム | 第31話 言い訳に関しての考察

昔、アルバイトをしていた時に遅刻した言い訳のやけにうまい奴がいた。

「す、すみません。頭から血を流していました。」
「だ、誰が!?」 「ブ、ブッチャーが・・・」

ワハハハ・・・
と一同が大笑いして遅れたという事実が覆い隠されてしまうのである。
ブッチャーというのはその当時、いつも頭から流血していた悪役プロレスラーだ。

「す、すみません。おばあさんが倒れていて・・・」
「えっ、それで?どうしたん?」
「見てました。」

「・・・み、見てただけかい!!」」
という吉本新喜劇のような言い訳もあった。

まねしてみようと僕も考え、使ってみた。

「す、すみません。道が混んでました。」
「車で来たんか?」
「いえ、歩道が・・・」

「ふーん。」
不発であった。

「す、すみません。電車が渋滞してました。」
「はぁ?」
「いや、電車が数珠つなぎに・・・」

「はよ、仕事しいや。」
「電車はもともと数珠つなぎや!なんて・・・」
「自分で突っ込んでんと、はよ働け!!」
これも不発であった。

言い訳?

どうして、こんなことを思い出したかというと、電車で前の席の高校生たちの会話を聞いたからである。
野球部員のようだった。

「あいつ、ほんまにあほやぞ。この前、試合に遅れて来た時、先輩に
『それが、電車が一駅ごとにいちいち止まりやがって、めちゃ時間がかかったんです』
って言い訳しよってん。」

「・・・それは各停や!」
と周りの乗客が心の中で一斉に突っ込んだのが私には分かった。