コラム | 第32話 セカンドライフ

皆さんは最近話題の「セカンドライフ」というものをご存知だろうか。

これは簡単に言うとインターネット上に3Dで造った架空の街だ。
無料で自由にアクセスし、架空の街を歩いたり、車に乗ったりして自由に散策することが出来る。

フランスの大統領選挙で架空の選挙事務所を作って、演説やマニフェストの説明をしたり、mixiが企業の求人案内の建物を作ったりしている。

これから大企業が次々と出展し、新商品のマーケティングを中心に活用するようだ。

オンラインゲームのように「セカンドライフ」内の通貨を使って土地を買ったり、建物を建てたりも出来る。

一応、職業柄、そのような世界にも触れておこうと、早速、日本語ベータ版をダウンロードし試して見た。

まず、最初に自分自身の分身であるアバターと言われる3Dの人間像を編集する作業から始める。

名前は知り合いと出会うかも知れないので、気づいてもらうために、自分の名前に近いものにする。

この編集作業はかなり細かいことが設定できる。
体型も、筋肉のつき方、骨格の大きさ、太り具合、足の長さ、大きさなど様々である。

顔も細かく設定できる。頭蓋骨の形から部分的な肉付き、唇の厚さ、鼻の形と大きさと実に細かい。

そして、問題は髪の毛だ。私の場合、現実世界では若干の不自由さをかかえているので、架空の世界ではそれなりのものにしておきたい(それなりって何や?)

正面を向いた顔に前髪、もみあげ、後ろ髪などの色、長さ、ボリュームなどを細かく設定していく。

まぁ、あんまり長髪でも現実とかけ離れるので短めで精悍に見えるように整えていく。

しかし、ともかく設定する項目が多いのと、説明が英語なのでよく分からないところも多い。

気に入ったということも無いが、まぁまぁの及第点のものが出来たので、保存し、いよいよ街を探索する ことにする。

3Dの町並みを今作った正面向きのアバターがクルリと振り返り歩き始める。

しかし、振り返った途端、「あっ」と小さな声をあげてしまった。

「まずぅ、頭の後ろ禿げてるやん。あかん、あかん。」

見るな!!

「見るな!!」

正面向きで作業していたために、確認できなかったのだ。
やり直し、やり直し・・・と思った瞬間、パソコンがフリーズしてしまった。

やっぱり、ベータ版はあかんか、と思いながら強制終了し、再起動をかけた。

再度、「セカンドライフ」を立ち上げる。
自分のアバター発見。
やっぱり、後頭部は禿げたままだ。

よーし、再編集!・・・と思ったら、またもやフリーズ。

・・・何度やっても結果は同じ。

そして、私の「セカンドライフ」への挑戦は終わった。
それは、私にとって架空のものではなく、現実を再認識させた悲しいものでしか無かった。

やれやれ、早く本番のソフトをリリースしておくれ。